第21回 名探偵ナンコ(本遇寺・大阪市福島区)2005.1.23.sat
 18:30スタート。

  新作講談「坊主の火遊び」
  講談紙芝居「原子怪物ガニラ」
  ホームズ講談「唇のねじれた男」
    中入
  芦辺先生との対談

 まず、「坊主の火遊び」
 この作品は、高野山での山ごもり※ の成果だそうです。ゲニムツカシキ宗教闘争がテーマな上、しかもそれをお寺で作ってお寺で上演してしまったという問題作。新作講談「コアラ」では清純な少女だった「マキちゃん」が、ファム・ファタールになっていたのもファンには衝撃。同じ名前のヒロインがシチュエーションを変えてあれこれの作品に登場するのって、桂文太師のマクラの「まゆみちゃん」とか、石井隆の「名美」とかと一緒だなぁ。ひょっとしたら沖縄講談のナマコちゃんも「マキちゃん」だったけ(……いや、多分違う)

cleckで拡大  毎回毎回ドキドキエヘエヘの「ガニラ」。今回は三枚も使った作者渾身の残虐シーンがあって、会場騒然!

 で、すっかり忘れていたのですが、この紙芝居が始まったのは去年の三月だったそう。まさかずっと絶体絶命のままで、新年を迎えるとは。次回はいよいよラストかも? ……えー、早く結末知りたいけれど、終わるとなると寂しいよう。って、短時間でシロクロはっきりつけたい落語ファンの私としたことが、いつの間に焦らされることに悦びを感じる被虐的な講談ファン体質になっちまったんだよう。(……って、講談ファンに怒られちゃいますよ)

 そして本日一番のお楽しみ、ホームズ講談「唇のねじれた男」。
 ホームズ&ワトソン以外、登場人物は日本人。事件現場は我らが大阪は宗右衛門町、ただし阿片窟アリ。……でも映画「天国と地獄」の横浜にもそんなところがあったしな。……で、え、なんです?観覧車もありますかぁ?! ……でも、まぁいっかぁ、子連れ狼でも大五郎の乳母車にはマシンガン付いてるし。なんだかアニメっぽくておもしろいやん。
 ホ&ワは宗右衛門町から滞在地の東大阪は瓢箪山までは馬車で移動。近鉄電車は通ってなかったのかなぁ。電車に揺られるホームズ&ワトソンっていうのもおもしろそう。いやいや、やっぱホームズの移動は馬車でなければ美しくない。ところで、二輪馬車と近鉄電車、どっちが速いんだろう。瓢箪山は普通しか停まらないし、乗り継ぎとか通過待ちもあるし、案外気合の入った馬車なら勝てるかもしれない。

 なーんて、会場のお客さんの頭の中には、それぞれにケッタイな世界が展開していたはずで、あぁ、そういうの、見せあいっこできたら楽しいのになぁ、などと考えながら聴いていました。

 ところで、「唇のねじれた男」は私が初めて読んだホームズ作品なんです。兄が漫画持ってたんです。(確かその本には「三人の学生」「まだらの紐」「サセックスの吸血鬼」「赤毛連盟」も載ってたように記憶しております。問題編が漫画で、解答編が文字のみという構成の推理クイズ)読後、小説を小学校の図書室で借りに走り、すっかり夢中になっちゃったんですよね。児童向け翻訳だったにも関わらず、少し自分が大人になったような気がしたものです。ほら、小学低学年対象のアニメとか絵本とか児童小説には、殺人犯はもちろん、乞食さん・ジプシーさん・怪しいインド人さん・後妻さん・先妻さんなんて人々はめったと登場しませんし、ましてや嫉妬とか、賭博とか、遺産でどうこうとか、出てきませんでしょ?(その数年後、大人向けを読み直し、さらなるショックを受けることになりますが。)

 それにホームズさん、愛想悪くて変わり者でとっても素敵。ルパンよりシャーロック様の方が絶対絶対かっこいいわぁ……って、男の趣味がそんなんだから嫁に行きそびれてるのか。トホホ。

 ……と、ここで宣伝。私も編集・カット絵師・背表紙などやらせてもらっている旭堂南湖同人誌vol.2「世界に一つだけの講談」。上方落語ファンにはお馴染み「芸能懇話」の取り扱い店、千日前の波屋書房でも販売しております。自分が関わった本が、麗しのあのカバーを掛けてもらえるなんてっ。涙チョチョぎれるのであります。もう一冊買いにいってしまおうかしらん♪



 ※旭堂南湖さんのHP「正直南湖」内のナンコラム「合宿」参照。